「南華密教学」


 「南華密教」とは、中国南部(南華)で在家居士らによって守られてきた、人類最高の遺産とも言うべき、究極の仏教秘伝です。
 近年、欧米において亡命チベット僧らの尽力もあって、チベット密教がその内容の高度さを認められていますが、「南華密教」はチベット密教(蔵密)をベースにして、中国禅(華禅)と老荘思想・道教の要素を受け入れ、独自の中国的発展をとげ、ついに最高レベルの仏教として今日に受け継がれました。
 「南華密教」の特色は、なによりも個人の役に立てることを第一に考えるものであり、個人が教団のために犠牲になるような一般の宗教とは一線を画するものです。
 また、その教学も、当時・当地、すなわちその時代とその場所における最新・最高の知識を取り入れています。
 たとえば現代物理学の最新素粒子論すらも、仏学における「空」論として理解できるという具合に、非常に柔軟で合理的なセンスを持っています。

 




密教秘伝・西遊記

 中国では明代初期に仏教が弾圧の対象になった時代がありました。そこで在家居士たちは法灯を守るべく、南華密教の教義の全てを『西遊記』という小説のなかに様々な比喩や暗喩のかたちで、密かにもぐりこませました。
 張明澄先生の著書『密教秘伝「西遊記」』はこの『西遊記』のなかに込められた物語を通じて、南華密教の「経典」 「実学」 「功法」 「秘術」の四部門を、平易に解き明かしたものです。

 



 「南華密教」の「経典」は、多くのお経の中から最も大切な部分を選び、いままで難解だった「有」 「空」「唯識」などの仏教理論も、誰でも正しく理解できるようになります。
 「実学」のなかには、自然科学・生命科学・人文科学・社会科学など、学問範囲は多岐にわたってあり、なかには干支・易卦を使って上手に整理された「記号分類学」として風水・測局・推命なども含まれています。
 「功法」では、易卦を応用した「調身」から、十二経路による「調気」さらに「練気」(気功・小周天)と段階を踏み、「練神」(内火)「禅定」(幻身・修夢)を経て「三味」(光明・中陰・転移)という仏法の世界に入れるようになります。